アイデアのちから

アイデアのちから

マジかよ!?「茶色い目の子は、青い目の子より優れている」

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この『アイデアのちから』を最初に知ったのは()『人を動かす、新たな3原則』でだった。推薦書籍として、チャルディーニ著『影響力の武器』の次に以下のように紹介されている。

著者のハース兄弟は、チャルディーニの後継者にふさわしい。2007年に出版されたこの処女作は、まさに珠玉の一冊だ。記憶に焼きつくメッセージの作り方を、単純明快、意外性、具体的、信頼性、感情に訴える、物語性という原則を通して、読者に授ける。

何度も背筋の凍った『影響力の武器』のチャルディーニの後継者にふさわしいと評されていて、読まないはずがない。いつか読もうと思っていた。それが、最近出て気になっていた『決定力!』も著者がハース兄弟と知るにいたり、さらにBBMで『決定力!』が薦められていて、そこでまた『アイデアのちから』があわせて紹介されていたので、両方買うことにした。

まだ読んでいる途中なのだが、きのう電車の中でP153からの「茶色い目、青い目」を読んで、衝撃を受けた。ここを読んだだけでもこの本を買った価値はあった。そういうことが目的の本ではないのだが、このことを知ってもらわずにはいられない。

マーティン・ルーサー・キング・ジュニアが暗殺された翌日、アイオワ州の小学校教師ジェーン・エリオットは、担任する小学校3年生のクラスで次のように宣言した。
「茶色い目の子は、青い目の子より優れている」「この教室では茶色い目の方が偉いのです」
そして、首輪をつける等さまざまな差別的待遇を青い目の子に対して行った。その結果はぞっとするようなものだった。例えば、茶色い目の児童に、エリオット先生はこう言われた。
「先生は青い目なのに、よく先生になれたね」
翌日、エリオット先生は、授業の冒頭、次のように言った。
「自分は間違っていた、実は茶色い目の子の方が劣っていた」
子どもたちは、この運命の逆転をたちまち受け入れた。青い目の子は歓喜の叫び声を上げ、自分たちより劣る茶色い目の子たちに首輪をつけようと駆け出した。

今これを書いている瞬間も、NHKでいじめの特集をしているようだが、こういった人間の本質を直視することなく、いじめの問題はけっして解決することはないだろう。ちなみに、10年後、20年後の追跡調査の結果、この壮絶な実験に参加させられた人たちは、同年代の人たちと比べてはるかに差別意識が低かったと言う。かなり話を簡略化したので、立ち読みでもいいので、P153~P156は多くの人にぜひ読んでいただきたい。

さて、全体的な内容としては、最初に引用したダニエル・ピンクの紹介のとおり。冒頭の「私たちの友人の友人の話だ」からぐっとひきつけられるのは、さすが。

仕事でもプライベートでも、話す上でも、文章を書く上でも、非常に多くのヒントを得られる良書だ。お薦め。

もしやと思って『土井英司の「超」ビジネス書講義』を開いたら、やはり、P189に紹介されていた。つまり、初めて本書について知ったのは、そこだった。しかし、認識はしていなかったのだな。ただ、そこを読んだ記憶ははっきりあった。

都市伝説を分析する

まだ読み終わっていないのだが、ネットで見た地震雲の話と同じくカマキリの卵で積雪予想をする話が、ああ、当てはまると思ったので、ちょっと分析してみる。6つの共通原則を今一度列挙しておくと、

  1. 単純明快である(Simple)
  2. 意外性がある(Unexpected)
  3. 具体的である(Concrete)
  4. 信頼性がある(Credible)
  5. 感情に訴える(Emotional)
  6. 物語性がある(Story)

最後にsを付け足してSUCCESs ! 本当は「単純明快」ではなく、「核心をついた(Core)」のようだが、覚えやすくするためにSimpleにしたようだ。まさにその方がSimple !

地震雲について

地震雲でググルと上出孝之という人物も出てくる。簡単に言うと地震雲なる雲が発生すると地震が起きるので、地震の予知ができるということだ。

ある種の雲が発生すると地震が起きるというのは、地震予知の難しさを取っ払って、単純明快だ。地震なのに雲というのも意外性がある。もちろん具体的信頼性については、上出孝之という人は北陸地震雲予知研究観測所の所長といういかにもな感じ。地震というのは恐怖そのものだから、もちろん感情に訴える力は十分。その彼が長年研究してきましたというのは物語そのもの。また、数々の予言を的中させたということも。というわけで、6点満点。SUCCESs!

単純明快意外性具体性信頼性感情の刺激物語性

これを書いたとき、まだそこを読んでいなかったので、信頼性について、新たに追加。P215「検証可能な信頼性」、これも満たす。「検証可能な信頼性」というのはどういうことかというのは、ここでは省くが、都市伝説ではよくあることのようだ。

カマキリの積雪予想について

カマキリが高いところに卵を産むとその冬は大雪になるという言い伝えを酒井與喜夫という人が実際に調べてみて、予想できるいう話。

まず、気象庁は苦労しているのに、その年の積雪予想について、単純明快具体的。カマキリという虫けらが人知の及ばぬところを成し遂げるという意外性物語性。そして、この予想をしているのは、酒井與喜夫という人が、長年豪雪地帯の人の暮らしを少しでも楽にしてあげられるようにという感情に訴える物語でもある。「日経サイエンス創刊25周年記念論文賞」優秀賞も受賞しており、信頼性もある。6点満点。SUCCESs!

単純明快意外性具体性信頼性感情の刺激物語性

それでも都市伝説?

それでも都市伝説とどうして私が判断するか。本の内容とはそれるが、簡単に触れておくと、それは信頼性。信頼性に丸をつけたが、それは、一見、信頼性があるというだけの話。ここを見極められるかどうかが鍵だ。

地震雲は、そういうものが発生するのはありだと思うが、今の段階では「科学」の遡上に載せるにはあまりにお粗末レベル。

カマキリの卵と積雪予想については『孤独なバッタが群れるとき』の中のコラムP119~P122や以下の記事 http://ohrwurm.cocolog-nifty.com/blog/2006/10/post_eea3.html を参照。その予想のための前提が間違っているというトンデモぶり。積雪予想が当たるなら、それはそれで、理屈とは別に有用ではあるが。

娯楽としての都市伝説は、人生のおつまみとして大いにけっこうだと思うが、それで人をだましてお金を巻き上げたりする人が出てくるのは許せない。それに対抗するには、やはり上記6つの原則を抑えないといけないんだな。ついつい陥りがちなのは、論理的に正しければそれでよしてしまう態度。それではガチガチの信奉者は当然のこととして、本来中立の第三者をなかなか取り込めない。

とはいえ、例えばカマキリの卵について、間違いを印象づけるために6つの原則SUCCESsを当てはめらるだろうかと考えた。けっこう難しいぞ。信頼性は担保できるし、感情に訴えた物語にもまあできるだろう。具体的にもできるだろう。しかし、意外性があり、単純明快というのは難しそうだ。特に意外性だ。何かと比較して、読んだ人をうまく「引っ掛ける」必要があるだろうな。

購入・各種データ

画像は楽天ブックス、文字はアマゾンにリンクを張ってあります。私はhontoで買いました。

アイデアのちから

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初回更新:2013-10-26 (土) 11:00:34
最終更新:2014-06-21 (土) 09:59:34
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